東京大学

概要
調査番号 0701
調査名 仕事と生活の両立支援策と企業業績に関する調査,2005
寄託者 厚生労働省 雇用環境・均等局職業生活両立課
(寄託時:厚生労働省 雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課)
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SSJDAが利用申請を承認したときに利用できる
教育目的(授業など)の利用 研究のみ

利用期限

一年間
データ提供方法 ダウンロード
オンライン集計システムSSJDA Data Analysis 利用不可
調査の概要  急速に進行する少子化に対処するため,社会全体での様々な取組が行われている。中でも,企業における仕事と家庭の両立支援や働き方の見直しに対する取組は,最も注目を集めているもののひとつである。ここで注目すべきは,労働者の職業生活と家庭生活の両立やワークライフバランス達成のための支援を行うことは,労働者自身にとってメリットを発生させるだけでなく,優秀な人材の確保・定着等をもたらすという意味で,企業へのメリットをも発生させるという指摘である。今後,より多くの企業においてこうした取組が推進されていくためには,単に取組の重要性を説明するだけでなく,取組を行うことによって企業にとってもメリットが生じること,典型的には企業業績にとっての好影響がもたらされることを具体的に明らかにすることが必要となる。

 実際,両立支援策の実施が企業業績にどのような好影響をもたらすかについては,近年企業経営や人事管理の現場の視点からも注目されており,欧米においては,研究の蓄積が進みつつある。わが国でも,このテーマに関する実証的な研究は緒についたところであり,いくつかの研究が蓄積されつつあるが,安定的な結論が得られる状況には至っていない。

 このような背景を踏まえて,2004年度,2005年度の2年間にわたりニッセイ基礎研究所に「両立支援と企業業績に関する研究会」(厚生労働省委託研究)が設置され,両立支援を含むワーク・ライフ・バランス施策と企業業績に関する調査研究手法を開発するとともに,それに基づき,両立支援策と企業業績との関係を明らかにすることを目的として本調査が設計・実施された。

 独自の特徴として次の点を有する。第一に,両立支援策の実施から企業業績の向上という因果関係をより厳密に検証することを意図して調査設計がなされているという点がある。上述のように,両立支援策と企業業績との関係については検証への取り組みが進行している状況にあるが,両者の関係を因果関係として把握しようとした場合に,次のような無視できない問題が生じる。企業業績の水準決定には,両立支援策の実施という要因だけでなく,それ以外の複数の要因が絡み合って作用しているという事実があり,このため両立支援策が影響をもつことを実証するためには,それら他の要因を統制しながら影響を計測するという困難な作業が必要となる。このような問題認識のもと,本調査では,企業業績に影響しうる要因に関する多数の調査項目を設けている。これによって,企業業績に影響する他の要因を統制した上で,両立支援策の効果を測定することが可能となる。

 本調査独自の特徴として第二に,両立支援策から企業業績に影響が及ぶまでのプロセスを検討するための調査設計がなされているという点がある。人事管理制度の一つの分野に過ぎない両立支援策の導入は企業業績に直接的に影響をおよぼすというよりも,人的資源管理との交互作用によって効果を与えていると捉えられる。具体的には,両立支援策が実施・充実されることによって,従業員の確保・定着,従業員のモチベーション向上,あるいは業務運営の効率化といった個別の人的資源管理上の改善を通じて,企業業績に好影響を及ぼすというプロセスを想定することができる。従って,両立支援策の影響を評価する際には,単に両立支援策から企業業績との直接的な関係を問うだけでなく,上のようなプロセスの検討を同時に行う必要がある。こうした問題をふまえて,本調査では,上述の人的資源管理上の改善を測定できるような調査設計を行っており,これによって,両立支援策が企業業績に効果を直接的に測定するだけでなく,効果がもたらされるまでのプロセスを検討することが可能になっている。

 なお,アンケート調査実施の際に回答結果と個別企業の公表されている業績データ(東洋経済新報社会社四季報データ,日本経済新聞社会社年鑑・会社総監データを利用)を関係付けて分析することを依頼状に明記し,回答企業の外部のデータを企業別に取り込んでいる。ただし公開にあたっては,個別企業が特定されないよう,外部データに関しては一部のみの提供となっている。
データタイプ(量的調査/質的調査/官庁統計) 量的調査
量的調査: ミクロデータ
調査対象 東洋経済新報社会社四季報に掲載されている従業員数301~2000人規模の企業3464社(内訳は上場企業1791社,未上場企業1673社)。
調査対象の単位 組織
サンプルサイズ 有効回答数 446社 (有効回答率 12.9%)
調査時点 2005-10-01 ~ 2005-10-01
2005/10/01
対象時期 2005 ~ 2005
調査地域
 
標本抽出
 
調査方法 自記式調査票:紙
調査対象企業の人事担当マネージャーに対して,郵送調査を行い,郵送により回収した。
調査実施者 ニッセイ基礎研究所
DOI 10.34500/SSJDA.0701
委託者(経費)  
寄託時の関連報告書・関連論文 「平成17年度厚生労働省委託調査 両立支援と企業業績に関する研究会報告書」,2006年3月,(株)ニッセイ基礎研究所
「人を活かす企業が伸びる 人事戦略としてのワーク・ライフ・バランス」,佐藤博樹・武石恵美子編,2008年,勁草書房
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調査票・コードブック・集計表など [調査票]
主要調査事項 (1)企業の属性
 ・業種  
 ・資本系列(外資系かそれ以外か)  
 ・労働組合の有無  
 ・男女雇用機会均等施策あるいは仕事と家庭の両立施策に関する公的機関からの企業表彰経験  
 ・次世代育成支援対策推進法に基づく企業行動計画策定の有無  
 ・(企業行動計画策定ありの場合に)「認定」を受けることへの希望の有無  

(2)労働時間および休暇取得の状況
 ・正社員における昨年度の一カ月所定外労働時間(残業時間)で30時間を超える従業員の割合  
 ・正社員における昨年度の有給休暇取得日数の平均  

(3)従業員の確保および定着の状況
 ・最近5年間の新卒採用,中途採用それぞれの実績状況  
 ・5年前と比較した場合の新卒採用,中途採用それぞれの従業員募集に対する応募者数の変化(増減)  
 ・5年前に20代前半で採用した大卒正社員(新卒・中途両方を含む)の現在の定着率(男女別)
 ・5年前と比較した場合の入社5年目くらいの20代後半の従業員の定着率の変化(高低)(男女別)
 ・女性正社員に占める既婚者比率  
 ・会社全体でみた場合の,女性正社員の(結婚・妊娠・出産・育児などに伴う)就業継続の状況  

(4)雇用管理の特徴
 ・下記のうち,人事戦略で重視している項目
  (a)従業員の長期雇用  
  (b)企業への帰属意識  
  (c)成果や実績による従業員評価  
  (d)従業員の能力開発の企業による投資  
  (e)社内での将来のキャリアについて従業員に考えさせること  

 ・勤続10年程度の正社員のうち転居を伴う転勤経験のある従業員の割合(男女別)
 ・大卒正社員の初任年収から35歳時の平均年収への上昇率(男女別)
 ・35歳時の社員における最高年収および最低年収と平均年収との比率  

(5)両立支援制度の導入および運用状況
 ・下記制度の有無,(有りの場合)導入時期,(導入後の変更がある場合)変更時期
  (a)育児支援関連制度  
  (b)介護支援関連制度  
  (c)育児や介護で退職した従業員のための再雇用制度  
  (d)育児や介護以外の理由でも利用できる短時間勤務制度  
  (e)短時間勤務制度以外で,育児や介護以外の理由でも利用できる勤務時間短縮制度  

 ・女性の能力活用の取組等(下記)の開始時期
  (a)大卒女性の新規採用開始  
  (b)大卒採用者に占める女性の割合が3割を超えた
  (c)すべての職場に男女が配置された  
  (d)女性の係長および主任職への登用  
  (e)女性の管理職(課長相当職以上)に占める女性比率が1割を超えた
  (f)役員以上の経営層に女性が就任した  
  (g)ポジティブ・アクションに取り組んだ
  (h)妊娠した女性のうち出産後も働き続ける割合が5割を超えた
  (i)女性の育児休暇取得者がでた  
  (j)男性の育児休暇取得者がでた  

 ・仕事と生活の両立支援に関して実施している取組の種類  
 ・最近5年程度をみたとき,出産した女性正社員のうち育児休業を取得した割合  
 ・女性が能力発揮できる環境を整備することに対する重視の程度  
 ・従業員の仕事と家庭の両立を支援することへの重視の程度  
 ・仕事と生活の両立を支援する制度や取組を企業が導入することについての考え方  

(6)従業員の意欲および業績等について
 ・下記項目に関する同業他社との比較および5年前と現在の比較
  (a)従業員一人当たりの生産性指標  
  (b)企業業績  
  (c)従業員の仕事に対する意欲(男女別)
  (d)従業員の会社や仕事に対する満足度(男女別)

 ・売上および経常利益に関する現在と10年前および5年前と現在との比較
 ・企業全体の男女別従業員構成(従業員数,役職者数,正社員の平均年齢,平均勤続年数)
公開年月日 2011/01/06
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バージョン 1 : 2011-01-06
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