東京大学

概要
調査番号 0571
調査名 躍動するアジアの価値観(アジア・バロメーター2004)
寄託者 猪口孝
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SSJDAが利用申請を承認したときに利用できる
教育目的(授業など)の利用 教育(授業・卒論等)も可

利用期限

一年間
データ提供方法 ダウンロード
オンライン集計システムSSJDA Data Analysis 利用不可
調査の概要  〈アジア・バロメーター(AsiaBarometer)〉は,東・東南・南・中央アジアを網羅するアジアにおける過去最大の比較世論調査である。

 他の諸調査との対比における〈アジア・バロメーター〉の特徴は,これが普通の人々の日常生活に焦点を当てていることである。すなわち価値観や民主主義に重点を置いたものではなく,人々の不安,怒り,欲求,夢を通して庶民がどのように暮らしているかに着目した調査である。これに次いで重視したのは,家族,近隣地域,職場,社会的・政治的制度,経済市場と個人との関係である。そしてこれは,アジアの一般人の日常生活,ものの見方や感じ方を調査データの形で示すという純粋な学問的興味から出発したものであるところが,他の調査とは基本的に異なる点である。また,〈アジア・バロメーター〉は文化および言語への配慮に努めている。

 〈アジア・バロメーター〉のカバーするテーマは,社会基盤整備/経済状況/生活における価値観・満足度/社会的行動の価値観・満足度/アイデンティティ/政治意識/健康状態,と多岐にわたる。

 〈アジア・バロメーター2004〉は,10カ国を調査した〈アジア・バロメーター2003〉調査に引き続きなされたもので,東アジアと東南アジアの13カ国で実施された。今回の2004年度調査は外務省からの委託によって,東京大学東洋文化研究所(プロジェクト代表者:中央大学教授 猪口孝)が実施した。実地調査は社団法人新情報センターと,同社の海外パートナー企業が担当した。

 〈アジア・バロメーター〉はこの後2005年から2008年まで毎年,同じ質問票を使用して東・東南・南・中央アジアの各国を調査する予定で,合わせてアジア30カ国の比較分析を可能とする。
データタイプ(量的調査/質的調査/官庁統計) 量的調査
量的調査: ミクロデータ
調査対象 各国とも20歳~59歳の男女。
調査対象の単位 個人
サンプルサイズ                   計画標本      回収標本
                  男    女      男    女
日本                            376  449
韓国              407  393      421  398
中国              500  500      500  500
ブルネイ          400  400      402  402
カンボジア        386  426      386  426
インドネシア      413  412      413  412
ラオス            400  400      400  400
マレーシア        401  399      394  406
ミャンマー        400  400      400  400
フィリピン        400  400      400  400
シンガポール      400  400      358  442
タイ                            313  487
ベトナム          392  408      392  408
調査時点 日本       2004年10月28日~11月14日
韓国       2004年11月23日~12月7日
中国       2005年2月1日~3月10日
ブルネイ     2005年4月14日~28日
カンボジア    2004年11月6日~22日
インドネシア   2005年10月28日~11月17日
ラオス      2004年12月3日~2005年1月6日
マレーシア    2004年10月11日~11月28日
ミャンマー    2004年11月10日~25日
フィリピン    2004年10月22日~11月21日
シンガポール   2004年11月17日~12月10日
タイ       2005年10月13日~11月16日
ベトナム     2004年11月4日~20日
対象時期
調査地域 日本,韓国,中国,ブルネイ,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,ミャンマー,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム
標本抽出
多段層化無作為抽出法

日本
・第1段階:日本のすべての市町村を,北海道,東北,関東,北陸,東山,東海,近畿,中国,四国,九州の10地域に分ける。次に各地域の市町村を人口数により4つのカテゴリーに層化する。従って,日本のすべての市町村を38ブロックに層化する。各ブロックに20歳~59歳の人口数に基づき比例割当方式で100の一次抽出単位を割り当てる。
・第2段階:各ブロック内で,一次抽出単位(調査区)を確率比例抽出法で無作為に選ぶ。
・第3段階:各調査区の住民登録台帳から系統抽出法により9~17名を選び出す。

カンボジア,ラオス,ミャンマー,ベトナムは,人口センサスに比例。
(その他各国の抽出方法も概略同様になされているが,詳細については報告書参照)
調査方法 調査員による面接聴取法

調査事項に関してアジアの現状と展望をよく捉えることができるように,東京大学東洋文化研究所がアジアおよび欧米の研究者の協力を得て質問票を作成した。英語で作成された標準質問票を各国の調査会社が現地語に翻訳し,バックチェックを経て実際に用いられる質問票が作成された。

言語は次のとおり
 日本      日本語
 韓国      韓国語
 中国      北京語
 ブルネイ    マレー語,北京語,英語
 カンボジア   クメール語
 インドネシア  インドネシア語
 ラオス     ラオ語
 マレーシア   マレー語,北京語,英語
 ミャンマー   ビルマ語
 フィリピン   タガログ語,セブアノ語
 シンガポール  マレー語,北京語,タミル語,英語
 タイ      タイ語
 ベトナム    ベトナム語
調査実施者 東京大学東洋文化研究所(研究代表者:猪口孝)
実地調査は各国以下のとおり
 日本      (社)新情報センター
 韓国      ギャラップコリア
 中国      マーケット・サーベイ・リサーチ・コーポレーション,
         上海社会科学院
 ブルネイ    TNSマレーシア
 カンボジア   TNSベトナム
 インドネシア  TNSインドネシア
 ラオス     TNSベトナム
 マレーシア   TNSマレーシア
 ミャンマー   TNSベトナム
 フィリピン   TNSフィリピン
 シンガポール  メディア・リサーチ・コンサルタンツ Pte. Ltd. (MRC)
 タイ      ACニールセン(タイ)
 ベトナム    TNSベトナム
DOI
委託者(経費) 外務省
寄託時の関連報告書・関連論文 『アジア・バロメーター 躍動するアジアの価値観――アジア世論調査(2004)の分析と資料』,2007年8月,猪口孝/田中明彦/園田茂人/ティムール・ダダバエフ編著,明石書店
猪口孝「日本は遵法社会ではなくなったか?」『学術の動向』日本学術協力財団,11巻3号,2006,80-83ペ ージ.
猪口孝,田中明彦,園田茂人,ティムール・ダダバエフ編『アジア・バロメーター:躍動するアジアの価値観:アジア世論調査(2004)の分析と資料』(明石書店,2007).
真鍋一史「アジアにおける幸福と満足の文化:アジア・バロメーター調査のデータ解析」『社会学部紀要』,第100号,関西学院大学社会学部研究会,2006年3月,55-70ページ.
園田茂人「アジア・バロメーター」『文化日報』2006年2月28日(韓国語).
園田茂人「『アジア・バロメーター』に見るアジアのカタチ:第1回東アジアの対外イメージ(1)」『ワセダアジアレビュー』第1号,2007年4月9日,30-33ページ.
園田茂人「時評/反日デモの『後遺症』と小泉首相の靖国参拝」『アジア時報』7・8月号,2006年7月1日,2-3ページ.
園田茂人「『アジア・バロメーター』に見るアジアのカタチ:第2回東アジアの対外イメージ(2)」『ワセダアジアレビュー』第2号,2007年8月,34-37ページ.
園田茂人「アジアの中のアジア人意識」『ワセダアジアレビュー』第3号,2008年1月,28-31ページ.
田中明彦『アジアのなかの日本』(NTT出版,2007).
田中明彦「中国・対日イメージ改善には…内陸低収入層にアピール」『読売新聞夕刊』,2006年2月14日.
田中明彦「日本外交の勝利と課題:世論調査「アジア・バロメーター」から明らかになったアジア各国の視点」『論座』142号,2007年3月,98-103ページ.
田中明彦「日本外交的勝利与課題」『越洋聚焦-日本論壇』第16期(2007年7月)23-26ページ(中国語).
田中明彦「北京五輪を迎える中国1-'いい顔'と'怖い顔'-二つの顔の行方」朝日総研リポートAIR21,No. 203,2007,20-39ページ.
Fukushima, Akiko, "The Possibility of Functional Cooperation in East Asia," in Inoguchi, Takashi, ed., East Asian Community as Seen from the AsiaBarometer Surveys, AsiaBarometer Project Series No. 1, 2005,pp. 21-25.
Hosono, Sukehiro, "What is 'Socio-Economic Development'? --Opinion through Data Analysis of AsiaBarometer Survey--," in Inoguchi,Takashi, ed., Has Asia's Striding Growth Put an End to Happy and Law-Abiding Asia? AsiaBarometer Project Series, No. 2, 2006, pp. 7-23.
Inoguchi, Takashi, "The Place of the United States in the Triangle of Japan, China and India," Afrasian Center for Peace and Development Studies Ryukoku University Working Paper Series No.22, April 2007.
Inoguchi, Takashi, Akihiko Tanaka and Shigeto Sonoda and Timur Dadabaev, eds., Human Beliefs and Values in Striding Asia: East Asia in Focus: Country Profiles, Thematic Analyses and Sourcebook based on the AsiaBarometer Survey of 2004, Tokyo: Akashi Shoten, 2006.
Manabe, Kazufumi, "The Culture of Happiness and Satisfaction in Asia: Data Analysis of the AsiaBarometer Survey," Kwansai Gakuin Social Science Review, Vol. 10, February 2006, pp. 1-19.
Sonoda, Shigeto, "The Emergence of Urban Middle Class and 'East Asian Community'," in Inogichi, Takashi, ed., Arguing an East Asian Community Through the AsiaBarometer 2004, AsiaBarometer Project Series No. 1, 2005, pp. 27-32.
Sonoda, Shigeto, "Urban New Middle Classes in East Asia: Their Socio-cultural Background and Socio-political Orientations in Comparative Perspective," AsiaBarometer Project Series No. 3, September 2006, pp. 24-39.
Tanaka, Akihiko, "L'opinion des Asiatiques sur le Japon restemitigee," CAHIERS DU JAPON, Automne 2007, pp. 39-42, (In French).
Tanaka, Akihiko, "Do You Think Country X Has Good or Bad Influences on Your Country? An Analysis," Ajia Jiho, Vol. 37, No. 5, May 2006, pp.20-45.
Yamamoto, Kazuya, "Vietnam from the Perspective of the Asia Barometer Survey: Identity, Image of Foreign Nations, and Global Concerns," The Memoirs of the Institute of Oriental Culture, Vol. 150, March 2007,pp. 326-312.
SSJDAデータ貸出による二次成果物 二次成果物一覧はこちら
調査票・コードブック・集計表など [調査票][基礎集計結果]
主要調査事項 (1)生活全般
 公共サービス(上下水道,電気,都市ガス),生活の中のグローバリゼーション,環境問題の生活への影響度(大気汚染,水質汚染,土壌汚染,騒音),幸福感,生活の満足度(住居,友人関係,結婚生活,世帯収入,健康,教育,仕事,近所づきあい,治安,周辺の環境,社会福祉制度,民主主義制度,家族生活,余暇),生活水準。

(2)一般的な考え方
 生き方や生活環境のうち重要なもの,自分の子供(息子,娘)がなって欲しいと思う人,他人を信用できるか,人間的善(たいていの人は他人の役に立とうとしているか),自分の人間性(道に迷った人を助けるか),たとえ他人でも家を継がせるために養子にとる,2番の親戚と1番の人のどちらを採用するか,主な家計維持者が働けなくなった場合,自分を××人(国籍)であると考えるか,自国人であることを誇りにおもうか,超国家的帰属意識,同国籍でも地域によるグループを意識するか,重視する帰属集団,男女の地位の平等,自我の確立における宗教の重要性,祈りの頻度,宗教に関わる集団的な儀式への参加,宗教に関わる活動の増減,とても心配していること(社会的問題),各国による自国への影響,機関・組織に対する信頼感。

(3)中央政府について
 自国中央政府の対処評価,政府支出増減に関する考え。

(4)選挙や政治について
 投票参加,社会や政治・選挙についての考え,政府の許可を必要とする場合の行動,政治システムへの評価,自国での権利満足度。

(5)普段の生活
 食事内容(朝食,夕食),食品購入時(価格か品質か),交通手段,住居形態,今後1~2年以内の住居購入予定,住宅設備(現在ある設備,購入予定のある設備),メディア別情報入手経路。

(6)家族
 同居家族人数,家族構成,介護・看護が必要な家族の人数,18歳以下の子供の数,オムツ離れしていない子供の有無,子供のオムツのタイプ。

(7)価値観等
 子どもが家庭で助長されうるべき資質,政治における優先事項,生活における変化,政治行動形態,神の存在の重要性,正当化できること。

(8)属性
 性別,年齢,最終学歴,英会話の程度,未既婚,職業,収入のある家族数,世帯年収,宗教,教会・寺社への参拝頻度。
公開年月日 2008/05/01
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社会・文化
バージョン 登録:2008年5月1日 :
特記事項