東京大学

概要
調査番号 0583
調査名 中小企業パネル調査-中小企業の持続的成長要因に関する研究,1998-2006
寄託者 独立行政法人中小企業基盤整備機構
(寄託時:中小企業基盤整備機構)
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一時停止中
教育目的(授業など)の利用 研究のみ

利用期限

一年間
データ提供方法 ダウンロード
オンライン集計システムSSJDA Data Analysis 利用不可
調査の概要  1990年代の終わりから2000年代初頭にかけての日本経済は,一時的な景気の回復傾向は見られたものの,バブル崩壊後の長期にわたる不況下にあった。その「失われた10年」において,日本経済が大きな変革期を迎える中,中小企業をとりまく環境も大きく変化し,中小企業は雇用調整を始めとした様々な対応を迫られることとなった。そのような中でサステーナビリティ(持続的な成長)を遂げている中小企業の実態,特に中小企業の経営における両輪ともいえる人的資源の確保と財務面における取り組み等を明らかにし,中小企業の持続的成長を促す経済基盤ならびに社会基盤の構築に向けた議論に資することが求められている。

 本調査では,中小企業基盤整備機構が全国約19,000の中小企業を対象に,1980年7-9月期より25年以上にわたり,年4回,丹念に続けてきた「中小企業景況調査」の調査結果を活用し,各回の個票データにおける調査対象企業ごとの属性と回答内容の推移に着目することによって,中小企業の主に雇用面や財務面における動向に関する総合的な研究を行うことを目的としている。

 本研究では,中小企業基盤整備機構からの委託を東京大学社会科学研究所(研究代表者 玄田有史)が受け,上記の景況調査から,日本で過去に例を見ない,中小企業を対象としたパネルデータ(「中小企業パネルデータ」)の作成を,2006年度に実施した。1998年から2006年の各4-6月期データを接合した結果,4,497社に関するパネルデータを作成することが可能になった。
 このデータを用いることによって,個別中小企業の持続的変動を把握することが可能となる。なかでも売上,経常利益,雇用者数など,様々な指標について継続的な成長もしくは安定的な経営を実現している中小企業の姿を明らかにすることが期待される。
 2007年度には中小企業パネルデータから明らかとなった1998年から2006年にかけての中小企業の状況に関する事実を整理し,複数の研究論文を報告している。

 なお,今回接合した「中小企業景況調査」は各年4-6月期調査のデータで,第72回(1998年),第76回(1999年),第80回(2000年),第84回(2001年),第88回(2002年),第92回(2003年),第96回(2004年),第100回(2005年),第104回(2006年)調査にあたる。


 元となる「中小企業景況調査」は,全国約19,000の中小企業を対象に,4半期ごとに業況判断・売上高・経常利益等のDI(ディフュージョン・インデックス)値を産業別・地域別等に算出する景気動向調査であり,各地域の産業の状況等各地域の経済動向等について,一定時期ごとに変化の実態等諸情報を迅速・的確に収集,提供して,中小企業の健全な発展を図り,経営改善普及事業の効果的実施に資することをその趣旨としている。
 その調査事業は,中小企業基盤整備機構から調査の実施を請け負った全国商工会連合会,日本商工会議所,全国中小企業団体中央会を通じ,全国の商工会,商工会議所,中小企業団体中央会で実施され,これら3団体は,各々の調査データを中小企業基盤整備機構に納品している。当機構は3団体の調査データを集約し,全国約19,000企業の景気動向調査としてとりまとめて,時系列分析を施してきた。
データタイプ(量的調査/質的調査/官庁統計) 量的調査
量的調査: ミクロデータ
調査対象 中小企業景況調査のうち第56回調査(1994年4-6月期)以降の調査対象企業の個票データを使用し,各回の個票データを連結して調査対象企業ごとの個票データの推移が分かるように整理したデータ(パネルデータ)を作成し,調査対象とする。

<中小企業景況調査の調査対象は次のとおり。>
 中小企業基本法に定義する,全国の中小企業
 ※中小企業基本法は1999年12月3日に改正され,第80回調査(2000年4-6月期)以降は新定義に従っている。)
  資本金及び従業員が… 旧定義     :  新定義
        (第79回調査以前に適用)  :(第80回調査以降に適用)
 製造業その他:1億円以下又は300人以下  :3億円以下又は300人以下
 卸売業   :3千万円以下又は100人以下 :1億円以下又は100人以下
 小売業   :1千万円以下又は50人以下  :5千万円以下又は50人以下
 サービス業 :1千万円以下又は50人以下  :5千万円以下又は100人以下
調査対象の単位 組織
サンプルサイズ 4,497社
※調査票に掲載した数値は4,497社の9年間の全回答をプールした上での,それぞれの回答割合である。各設問の無回答は除外している。また,原則として全業種合計の数値となっている。
調査時点 1998~2006年
対象時期
調査地域 全国
標本抽出
上記のとおり,中小企業景況調査の1998年~2006年の4-6月期調査9回全部に回答した企業を,各調査の個票データの接合作業により抽出。


<中小企業景況調査の標本抽出は次のとおり。>

*商工会の行った調査については,全国の商工会のうち526の商工会地区を選定。選定方法は,当該調査対象地区および周辺地域を主な市場として成立する産業(製造業・建設業・小売業・サービス業の4業種)が存在する商工会地区を対象とし,各都道府県別の商工会数の比例分配を基準とし,市町村人口規模別の実態をも勘案して選定。1商工会当たりの企業数は原則として15企業とし,中小企業約8,000企業を対象としている。(商工会においては卸売業を調査対象とはしていない。)

 商工会議所の行った調査については,実施会議所管内の企業の中から,製造業・建設業・卸売業・小売業・サービス業の一定規模の企業を,実施会議所の利用目的及び地域の実情に合わせて適宜選定し,中小企業約8,000企業を対象としている。

 中小企業団体中央会の行った調査については,各都道府県における調査対象企業数は全国中小企業団体中央会が定め,都道府県中央会は,調査員の意見を参考として,製造業・建設業・卸売業・小売業・サービス業の一定規模の企業を選定する。1調査員当たりの調査対象企業数は原則として5企業とし,中小企業約 3,000企業を対象としている。

 なお,調査対象企業は,商工会,商工会議所,中小企業団体中央会のいずれも,原則として一定期間(最低3年間)変更しないものとしている。
調査方法 中小企業パネルデータ作成手順
 (1)エクセルシートを用いて1998年の調査回答企業にすべてID番号を振る。
 (2)1998年,1999年,2000年の3ヵ年のエクセルシートを結合し,企業名,ルートコード(1商工会,2商工会議所,3中小企業団体中央会),住所をキーとして,データの並べ換えを行う。その上で99年に調査された企業のうち,98年にIDが付されている企業とすべてキーが同一の企業には同じIDを付す。それ以外の企業には新しくIDを上から順番に付ける。2000年データも同様の処理を行い,新しく追加された企業には独自にIDを付ける。
 (3)住所表記の変わっている場合は目視でチェックする。
 (4)先にIDを付した1999年と2000年のシートに2001年のシートを追加し,3ヵ年分のデータを結合する。その上で上記(2)と同様の手続を行う。
 (5)同じ手続を2006年データまで追加して行う。
 (6)以上により,各年調査に企業IDを付したデータを作成することになる。そのなかから9回連続で調査対象となっている企業を抽出する。
 (7)以上を通じ,9年連続回答を含む4,497社のパネルデータを確定した。

<中小企業景況調査の調査方法は次のとおり。>
全国の商工会,商工会議所の経営指導員,及び中小企業団体中央会の情報連絡員が訪問面接し,聴き取りによって行った。
調査実施者 東京大学社会科学研究所(研究代表者 玄田有史)
中小企業基盤整備機構(旧 中小企業総合事業団《第76~95回調査》,旧 中小企業事業団《第75回調査以前》)
接合作業は,CRCソリューションズ(現 伊藤忠テクノソリューションズ)
DOI
委託者(経費)
寄託時の関連報告書・関連論文 「中小企業パネル調査 ~中小企業の持続的成長要因に関する研究~ 平成19年度研究成果報告書」,2008年2月,国立大学法人 東京大学社会科学研究所,研究委託元 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
「統計的マッチングによる疑似パネルデータの作成と精度検証-中小企業景況調査ミクロデータを利用して-」:『法政大学日本統計研究所 オケージョナル・ペーパー No.27』2011年11月,坂田幸繁,栗原由紀子,中央大学
「疑似景況パネルによる予想パフォーマンスの計測-マハラノビス・マッチングを適用して-」:『法政大学日本統計研究所 オケージョナル・ペーパー No.35』2012年11月,栗原由紀子,中央大学
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調査票・コードブック・集計表など [製造業調査票][建設業調査票][卸売業調査票][小売業調査票][サービス業調査票]
主要調査事項 調査票は[製造業調査票][建設業調査票][卸売業調査票][小売業調査票][サービス業調査票]の5種類からなり,質問内容は業種により若干項目が異なるが基本的には同様である。また,各年の調査内容は全く変わっていない。

[製造業調査票]

(1)<今期の状況・来期の見通し>
 イ. 売上(加工)額:前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し)
 ロ. 売上(加工)単価:同上
 ハ. 売上(加工)数量:同上
 ニ. 資金繰り:同上
 ホ. 輸出額:前年同期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ヘ. 原材料仕入単価:同上
 ト. 原材料在庫数量:同上
 チ. 製品在庫数量:同上
 リ. 採算(経常利益):同上
 ヌ. 従業員(含臨時・パート):同上
 ル. 設備操業率:同上
 ヲ. 引合い:前年同期比今期状況
 ワ. 受注残:同上
 カ. 業況(自社):前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し,今期比来期見通し
 ヨ. 受取手形期間:前期比今期状況,今期比来期見通し
 タ. 長期資金借入難度:同上
 レ. 短期資金借入難度(含手形割引):同上
 ソ. 借入金利:同上
 <今期の水準>
 イ. 業況(自社)
 ロ. 生産に対する原材料在庫
 ハ. 売上に対する製品在庫
 ニ. 採算(経常利益)
 ホ. 引合い
 ヘ. 生産設備
 ト. 従業員(含臨時・パート)
(2)新規設備投資
 今期の実施有無・実施内容,来期の計画有無・計画内容
(3)今期直面している経営上問題点


[建設業調査票]

(1)<今期の状況・来期の見通し>
 イ. 完成工事(請負工事)額:前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ロ. 資金繰り:同上
 ハ. 受注(新規契約工事)額:前年同期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ニ. 材料仕入単価:同上
 ホ. 採算(経常利益):同上
 ヘ. 従業員(含臨時・パート):同上
 ト. 引合い:前年同期比今期状況
 チ. 契約残(未消化工事高):同上
 リ. 業況(自社):前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し,今期比来期見通し
 ヌ. 受取手形期間:前期比今期状況,今期比来期見通し
 ル. 長期資金借入難度:同上
 ヲ. 短期資金借入難度(含手形割引):同上
 ワ. 借入金利:同上
 <今期の水準>
 イ. 業況(自社)
 ロ. 採算(経常利益)
 ハ. 引合い
 ニ. 従業員(含臨時・パート)
(2)新規設備投資
 今期の実施有無・実施内容,来期の計画有無・計画内容
(3)今期直面している経営上問題点


[卸売業調査票]

(1)<今期の状況・来期の見通し>
 イ. 売上額:前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ロ. 売上単価:同上
 ハ. 資金繰り:同上
 ニ. 商品仕入単価:前年同期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ホ. 商品仕入数量:同上
 ヘ. 商品在庫数量:同上
 ト. 採算(経常利益):同上
 チ. 従業員(含臨時・パート):同上
 リ. 引合い:前年同期比今期状況
 ヌ. 業況(自社):前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し,今期比来期見通し
 ル. 受取手形期間:前期比今期状況,今期比来期見通し
 ヲ. 長期資金借入難度:同上
 ワ. 短期資金借入難度(含手形割引):同上
 カ. 借入金利:同上
 <今期の水準>
 イ. 業況(自社)
 ロ. 売上に対する商品在庫
 ハ. 採算(経常利益)
 ニ. 引合い
 ホ. 従業員(含臨時・パート)
(2)新規設備投資
 今期の実施有無・実施内容,来期の計画有無・計画内容
(3)今期直面している経営上問題点


[小売業調査票]

(1)<今期の状況・来期の見通し>
 イ. 売上額:前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ロ. 客単価:同上
 ハ. 客数:同上
 ニ. 資金繰り:同上
 ホ. 商品仕入単価:前年同期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ヘ. 商品仕入額:同上
 ト. 商品在庫数量:同上
 チ. 採算(経常利益):同上
 リ. 従業員(含臨時・パート):同上
 ヌ. 業況(自社):前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し,今期比来期見通し
 ル. 長期資金借入難度:前期比今期状況,今期比来期見通し
 ヲ. 短期資金借入難度(含手形割引):同上
 ワ. 借入金利:同上
 <今期の水準>
 イ. 業況(自社)
 ロ. 売上に対する商品在庫
 ハ. 採算(経常利益)
 ニ. 従業員(含臨時・パート)
(2)新規設備投資
 今期の実施有無・実施内容,来期の計画有無・計画内容
(3)今期直面している経営上問題点


[サービス業調査票]

(1)<今期の状況・来期の見通し>
 イ. 売上(収入)額:前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ロ. 客単価:同上
 ハ. 利用客数:同上
 ニ. 資金繰り:同上
 ホ. 仕入単価(材料等):前年同期比今期状況,前年同期比来期見通し
 ヘ. 採算(経常利益):同上
 ト. 従業員(含臨時・パート):同上
 チ. 業況(自社):前年同期比今期状況,前期比今期状況,前年同期比来期見通し,今期比来期見通し
 リ. 長期資金借入難度:前期比今期状況,今期比来期見通し
 ヌ. 短期資金借入難度(含手形割引):同上
 ル. 借入金利:同上
 <今期の水準>
 イ. 業況(自社)
 ロ. 採算(経常利益)
 ハ. 従業員(含臨時・パート)
(2)新規設備投資
 今期の実施有無・実施内容,来期の計画有無・計画内容
(3)今期直面している経営上問題点
公開年月日 2008/09/09
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SSJDAオリジナルトピック 経済・産業・経営
バージョン 登録:2008年9月9日 :
特記事項