東京大学

概要
調査番号 0871
調査名 労働審判制度についての意識調査,2010
寄託者 東京大学社会科学研究所 「労働審判制度についての意識調査」企画実施委員会
利用申込先・承認手続き 利用方法の詳細はこちら

SSJDAが利用申請を承認したときに利用できる
教育目的(授業など)の利用 教育(授業・卒論等)も可

利用期限

一年間
データ提供方法 ダウンロード
メタデータ閲覧・オンライン分析システムNesstar 利用不可
調査の概要 本調査は,2006年4月に開始した労働審判制度について,この制度を実際に利用した当事者の評価の現状および構造を質問紙調査の方法で多面的に解明することを目的として行われた。

 労働審判制度では,手続上,(1)原則として3回以内の期日での審理の終結,(2)労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員の関与,(3)審判機能と調停機能の結合,(4)訴訟手続との円滑な連携など,随所に新しい試みが取り入れられている。労働審判制度の利用件数(新受件数)は,制度が開始した2006年(4月~12月)の877件から急速に増加し,2010年は前年からわずかに減少して3,375件であった。法律専門家および関係する労使の団体などからも,この制度の機能を積極的に評価する意見が多く聞かれ,労働審判制度は,導入後短期間のうちに個別労働紛争解決システムの重要な制度として定着し,今後ますます大きな役割をはたすことが期待されている状況にある。

 このような労働審判制度について実際の利用者を対象とする調査を行うことには,次の3点で大きな意義があると考えられる。

1. 労働審判制度の利用者の評価の現状およびその構造を体系的・系統的に明らかにすることで,労働審判制度の実情およびそれがはたしている機能を正確に把握することに役立つとともに,今後の実務の改善や審判員研修の充実に向けた手がかりを与えるものと期待される。

2. 利用者の評価の現状および構造を適宜民事訴訟利用者調査の結果と比較・対照することを通じて,労働審判制度および民事訴訟制度の双方の制度および実務の改善にとって有益な情報が得られる。

3. 労働審判制度と同様の特徴を持つ新しいタイプの紛争解決手続は,今後,個別労働紛争以外の領域にも拡張される可能性があり,本調査から得られる知見は,関連制度の制度設計という観点からも重要な参考情報を提供するものと期待される。

 なお,本調査は,労働者用の調査票(以下,A票)と使用者用の調査票(以下,B票)を別に用意している。調査票の基本的構成は労働者用・使用者用で共通であるが,個別の質問の内容・配列は,労働者側・使用者側の状況の違いに応じて変えた箇所がある。
データタイプ(量的調査/質的調査/官庁統計) 量的調査
量的調査: ミクロデータ
調査対象 調査実施時期に,全国の裁判所の労働審判手続で調停が成立しまたは労働審判の口頭告知が行われる期日において,当該期日に出頭した当事者(申立人・相手方双方)。
調査対象の単位 個人,組織
サンプルサイズ A票(労働者用):調査対象者数 891人,有効調査票数 309票,回収率 34.7%
B票(使用者用):調査対象者数 891人,有効調査票数 185票,回収率 20.8%
調査時点 2010-07-12 ~ 2010-11-11
2010年7月12日~11月11日
対象時期 2010 ~ 2010
調査地域 日本
全国
標本抽出
調査方法 自記式調査票:紙
調査対象者に対して裁判所より調査の説明書および調査協力意思確認用のハガキを交付し,同ハガキにより調査への協力意思を示すとともに調査票送付先住所を開示した当事者に対して調査票を郵送する方法による。調査票の返送も郵送。
調査実施者 東京大学社会科学研究所 「労働審判制度についての意識調査」企画実施委員会,実査は(社)中央調査社。
DOI 10.34500/SSJDA.0871
委託者(経費) 文部科学省「近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業」の委託を受けた東京大学社会科学研究所「生涯成長型雇用システム構築プロジェクト」(研究機関:2008年度~2013年度,研究代表者:玄田有史・東京大学社会科学研究所教授)の費用を使用。
寄託時の関連報告書・関連論文 「労働審判制度についての意識調査 基本報告書」,2011年10月,東京大学社会科学研究所
SSJDAデータ貸出による二次成果物 二次成果物一覧はこちら
調査票・コードブック・集計表など [調査票]
主要調査事項 (1)事件の種類・申し立て内容・当事者の立場:
事件の種類,問題が起こった時期,労働審判手続での立場,申し立ての時期,申し立て時の請求金額
[A票のみ]申し立て時の在職状況
[B票のみ]問題発生時の相手側の働き方・役職,申し立て時の相手側の在職状況

(2)申し立てまでの経緯,申し立ての(またはそれに応じた)理由・期待:
申し立て前の相談先,申し立て前の相手側との交渉,労働局・労働委員会の制度や手続きの経由,弁護士の依頼,労働審判手続の情報入手先,労働審判手続への期待
[A票のみ]在職時の相談環境
[B票のみ]会社・団体と従業員とのコミュニケーションの状態

(3)手続過程および手続関与者の評価:
費用の事前予想,かかった手間や人手の負担感,かかる時間の事前予想,かかった時間の感想・満足度,手続の過程や経過への感想,手続への立会い状況,審判官の印象・満足度,審判員の印象・満足度,裁判所職員の印象・満足度,依頼弁護士の印象・満足度,相手側弁護士の印象

(4)結果(調停・審判)の内容および評価,制度の評価:
労働審判手続の終わり方,異議申し立ての状況,調停で解決しなかった理由,調停・審判の内容理解,労働者側が得た権利・地位,労働者側に認められた金額,調停・審判の結果は有利か,調停・審判の結果への感想・満足度,手続きの特徴の重要度
[A票のみ]労働者側が負った義務
[B票のみ]使用者側の会社・団体が得た権利・地位

(5)手続終了後の当事者および職場の変化:
手続終了後の労働者側の在職状況,手続終了後の組織・人事管理の変化

(6)当事者の属性:
裁判・調停の経験
[A票のみ]性別,年齢,最終卒業学校,問題発生時の働き方,就業先の業種・従業員規模・労働組合の有無と加入状況,問題発生前と現在の年収,日本語以外に用いる言語
[B票のみ]会社・団体の業種・資本金・従業員規模・労働組合の有無,回答者の立場・所属セクション・役職

※調査項目の詳細については,調査票を参照。
公開年月日 2013/12/11
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雇用・労働
バージョン 1 : 2013-12-11
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