概要 |
調査番号
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1281
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調査名
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日本の対メキシコFDI工場における職務意識調査,2005・2011
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寄託者
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清川雪彦・大場裕之
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利用申込先・承認手続き
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利用方法の詳細はこちら
SSJDAが利用申請を承認したときに利用できる |
教育目的(授業など)の利用
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教育(授業・卒論等)も可 |
利用期限
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一年間 |
データ提供方法
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ダウンロード |
オンライン集計システムSSJDA Data Analysis
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利用不可 |
調査の概要
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20世紀末以降の日本経済の低迷や労働力人口の逓減傾向などにより,これまでの日本的労務慣行たる長期雇用や年功的賃金制度などは,もはや見直さざるを得ない状況となっている。しかもそれだけにとどまらず,いわゆる「日本的経営」全般に対しても否定的な評価がなされ,さらにはそもそも同質的な日本社会で有効に機能し得た「日本的経営」は,海外直接投資などに際し海外に移転するのは,一般に困難かつ不適切であるという見解すら散見されるようになってきている。
「日本的経営」には,海外移転に値する十分な合理性や普遍性は,内包されていないのであろうか。はたまた異文化社会への経営移転に際し,適応化をなし得るだけの柔軟性を具備してはいないのであろうか。こうした問題に対する1つの限定的回答を見いだすことが、本調査研究の主要な課題である。
「日本的経営」の本質は,種々の労務管理施策を用いながらも,究極的には「意欲的労働力」を形成することにある。ただその労働意欲そのものを直接確認・計測することは一般に難しいため,本調査研究では管理者・従業員への勤務意識調査を実施し,そこから得られる構成概念の組合せによって労働意欲を測定する間接的手法を採用することを通じ,異文化社会に対する「日本的経営」の移転成否が判断される構造となっている。
本調査研究は,産業用冷凍機メーカー・前川製作所のメキシコ工場に対する経営移転の成否を事例分析することを,主要な課題としている。この目的のために,2005年および2011年にメキシコ・シティの南70キロにあるクエルナバカ市所在の同社メキシコ工場において職務意識調査を行った。なおこの2005年の調査のためにメキシコへ出発する直前に,同社の茨城県守谷市にある守谷工場でも同様に,日本との直接比較が可能なようにほぼ同じ内容の職務意識調査を実施した。
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データタイプ(量的調査/質的調査/官庁統計)
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量的調査: ミクロデータ
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調査対象
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産業用冷凍機メーカー・前川製作所の守谷工場(茨城県守谷市)およびメキシコ工場(クエルナバカ市)の管理者・従業員
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調査対象の単位
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個人
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サンプルサイズ
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[2005年・日本工場]50名 *従業員総数394名
[2005年・メキシコ工場]51名 *従業員総数145名
[2011年・メキシコ工場]69名(うち2005年調査の回答者24名) *従業員総数169名
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調査時点
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2005 ~ 2011
2005年,2011年
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対象時期
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2005 ~ 2011
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調査地域
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茨城県
メキシコ
前川製作所守谷工場(茨城県守谷市),前川製作所メキシコ工場(クエルナバカ市)
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標本抽出
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確率: 単純無作為抽出
前川製作所より提示を受けた管理者・従業員の各名簿をフレームとして,乱数賽と乱数表によりランダム抽出した。なお抽出標本総数は,業務への支障を避けるべく中間管理職および正規従業員の3~4割程度に抑え,面接調査員数を若干増やして1日で終了するよう努めた。
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調査方法
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個別面接法
調査票に基づく他記式の面接調査。
現地調査に用いられた調査票は,スペイン語版である。まず日本語版から,当時メキシコ国立大・大学院に留学中の院生によってスペイン語へ翻訳し,それを英語版とも照合しながらメキシコ人の大学院生達にチェックしてもらい完成した。
面接調査に際しての調査員は,2005年調査の場合にはメキシコ人の大学院生に,また2011年調査ではジェトロ・メキシコ事務所の紹介により,簡単な調査経験を有し英語もできるメキシコ人主婦の人達にも依頼した。いずれの場合も丸1日かけて調査員の訓練を実施し,調査票の読み合わせや語句内容の説明ならびに面接方式等々についての確認を行った。
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調査実施者
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清川雪彦・大場裕之
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DOI
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10.34500/SSJDA.1281
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委託者(経費)
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寄託時の関連報告書・関連論文
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清川雪彦・大場裕之,2017,「異文化社会への経営移転は可能かーマエカワ・メキシコ工場での調査を中心に」『アジア経済』58(4),pp.30-54, 2017年12月
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SSJDAデータ貸出による二次成果物
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二次成果物一覧はこちら
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調査票・コードブック・集計表など
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日本工場 [ 調査票 ]
メキシコ工場 [ スペイン語調査票 ・ 日本語調査票 ]
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主要調査事項
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(1)被面接者に関する基礎情報
・性別
・勤続年数,入社年,職歴,職種
・住宅種類,出身地,父親の職業
・年齢,生年
・宗教,学歴,雇用条件,月給額
・結婚歴,子どもの数・年齢,同居家族の人数,働いている家族人数,主たる所得稼得者,家族の総月収
(2)職務満足などについて
・満足度(仕事,賃金,休日制度・労働時間,福利厚生施設,ボーナス・諸手当,職場の人間関係)
・定年までの勤続意向
・同じ仕事が息子娘に提供されうる場合の意向
・会社や職務に対する誇り
・昇進と昇給の選好
・“良い仕事”とは何か
・給与に余裕が生じた場合の使い道
・利潤と福利厚生施設の選好
・最も親しい友人は職場の人か
・最も重要な生活
・仕事における熟練や経験の必要性
・時間給と出来高給の選好
・同一の仕事でより高い賃金の工場が現れたら,今の職場を変わるか
・転職する場合に選ぶ仕事
(3)帰属意識等について
・現在の仕事の見つけ方
・追加収入と予定時間の帰宅の選好
・工場内での配置換えの是非
・短期間欠勤した人の仕事を補充すべき人
・男女平等の認識
・管理者と労働者が同じ食堂で食事をとることの是非
・制服着用,「朝礼」,工場全体のレクリエーション活動の必要性
・会社の主たる目的
・新しい情報や知識を同僚に分与・共有することの是非
・人物を評価する場合に最も重要な基準
・勤勉を美徳と考える日本企業の傾向に対する評価
(4)熟練・技術・品質意識について
・経営管理者に最も重要な資質
・熟練には同一職場に長くいる方がよいか
・新設備導入や技術革新への対応に最も重要なこと
・既存設備に技術革新があった場合の導入の是非
・新鋭の機械設備が配備された場合の意向
・製品検査・品質検査への態度
・QCサークル制度導入の有無
・QCサークル制度の目的と機能の認知
・熟練度や技能水準をさらにひきあげるために最も必要なもの
・外国の機械を導入することの有効性
・労働組合の生産性向上に対する取り組みへの評価
・工場の経営内容を改善するためには,生産量拡大と品質改善のどちらがより重要か
・品質改善のために最も重要なこと
・仕事を続けている理由
・職場で問題がおきた際の相談相手
(5)社会意識および補充質問
・社会的に最も重要な職業
・熟練の形成に最も重要な要因
・工場の規則に対する評価
・仕事に競争を持ち込むことの是非
・個人間競争とグループ間競争の選好
・年功序列型賃金システム,終身雇用に対する評価
・昇進を勤続の長さに関連づけることの是非
・現在の賃金体系全体に対する評価
・賃金などを教育水準(学歴)に応じて決めるべきだという意見に対する賛否
・優れた工場経営者に最も重要な資質
・経営者・管理者はその企業で働いている者のなかから抜擢されるべきだという意見に対する賛否
・管理者と従業員のコミュニケーションにおいて主要な役割を果たす人物
・上司から直接技術指導を受ける頻度
・会社外での上司との会話や食事の頻度
・トップダウン方式の意思決定に対する賛否
・中間管理職にはボトムアップの役割があるという意見に対する賛否
・「提案制度」に則り生産活動の改革に関する提案をすることは評価されるか
・生産性を改善するための提案をした場合受け容れられると思うか
・今日のメキシコ経済に対して最も強く感じる問題点
・いわゆる「日本的経営」はメキシコへ移転可能だと思うか
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公開年月日
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2020/03/05
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CESSDAトピック
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詳細はこちら
労働条件
雇用
貿易、産業、市場
ビジネス・産業経営と組織
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SSJDAオリジナルトピック
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雇用・労働
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バージョン
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1 : 2020-03-05
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特記事項
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