東京大学

概要
調査番号 0549
調査名 企業福利厚生制度の現状と課題・方向性,2006
寄託者 明治安田総合研究所
(寄託時:明治安田生活福祉研究所)
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SSJDAが利用申請を承認したときに利用できる
教育目的(授業など)の利用 教育(授業・卒論等)も可

利用期限

一年間
データ提供方法 ダウンロード
メタデータ閲覧・オンライン分析システムNesstar 利用不可
調査の概要  先進国の多くは現在,資源,環境,人口といった重たい成長制約を抱えている。国内市場の量的拡大はそれほど期待できなくなり,そのかわりに,人件費の効率や労働生産性の優劣が企業の競争力を大きく左右するようになった。わが国企業の人事・労務担当者あるいは労働組合幹部の多くは,人件費の効率化を進めながらも従業員福祉向上の要請に応え続けるという簡単には解決のつかない課題に直面している。

 雇用の流動化等を通じた人件費の効率化は,短期には労働分配率を引き下げて収支を改善する効果が期待できるものの,中長期には人的資本投資の減退を通じて労働生産性を押し下げるリスクを内包している。さらに,福利厚生費が適正水準を下回って効率化された場合には,社員の生活支援の後退が懸念されるばかりではなく,モラルダウンやメンタルヘルスを含めた心身の健康支援施策の後退を通じて,やはり労働生産性を損なう原因となりかねない。福利厚生費のコスト管理は進めながらも,生産性の向上に資する施策の効用は正しく認識して必要に応じて拡充していく姿勢が求められているのではないだろうか。

 本調査は,こうした問題意識の下,わが国の福利厚生の現状・課題について企業と従業員を対象に実施されたインターネットによるアンケート調査であり,今後のあるべき方向性を探ったものである。主な調査項目は,人事・労務管理施策等/福利厚生制度/「仕事と生活の調和」支援制度/社会保障・企業福利厚生制度・自助努力の役割比重/任意加入型の生活保障制度等である。

 本調査の特色は次のとおり。
1.企業調査と従業員調査を並行して実施。同じテーマについて両調査の結果を対比できる。
2.企業調査は企業の福利厚生担当者が回答。企業の従業員規模,業種ごとの分析が可能。
3.従業員調査は,正規従業員,非正規従業員それぞれの分析が可能。
4.非正規従業員の標本は,パート・アルバイト社員(派遣,請負社員等は除く)。
5.福利厚生制度に加えて「仕事と生活の調和」支援制度についても調査。
6.総務省の「事業所・企業統計調査」を用いて母集団の代表性を補完。
データタイプ(量的調査/質的調査/官庁統計) 量的調査
量的調査: ミクロデータ
調査対象 [企業調査]
 正規従業員5人以上の民間企業の人事・(総務)・労務担当者でその部門で「福利厚生」に関する業務について決定権があり半年以上経験がある人(経営者,役員,正規従業員)
[従業員調査]
 下記調査地域に本社がある正規従業員5人以上の企業に勤めている正規従業員/非正規従業員

※本調査における正規従業員とは,事前調査にて,雇用形態を経営者・役員または正社員と回答した方。
※本調査における非正規従業員とは,事前調査にて,雇用形態をパート・アルバイトと回答した方(派遣社員は含まれない)。
調査対象の単位 個人,組織
サンプルサイズ 有効回収数      (補正後)        (補正前)
  [企業調査]    1,504サンプル      1,647サンプル
  [従業員調査]  2,972サンプル      2,972サンプル
※企業調査のサンプルが補正前後で異なる点については、下記調査方法を参照のこと。  
調査時点 2006-12-25 ~ 2006-12-27
[企業調査]  2006年12月25~27日
[従業員調査] 2006年12月26~27日
対象時期 2006 ~ 2006
調査地域 北海道
宮城県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
静岡県
愛知県
京都府
大阪府
兵庫県
広島県
福岡県
札幌市,仙台市,さいたま市,千葉市,東京23区,川崎市,横浜市,静岡市,名古屋市,京都市,大阪市,堺市,神戸市,広島市,北九州市,福岡市
標本抽出 非確率: クオータ抽出
本調査の対象者条件に合うサンプルを確保するために,事前調査を実施。
<事前調査項目>
 勤務先地域/勤務先企業の本社所在地/雇用形態/勤務先企業の正規従業員数(全社)/勤務先企業の業種/職種/該当職種の勤務期間/勤務先企業における「福利厚生」に関する業務への関与度合い/勤務先企業における「福利厚生」に関する業務の関与期間。

マクロミルが保有する調査パネル*より性別(男性,女性),年齢(20代,30代,40代,50代)などの基本属性を絞り込んで無作為抽出している。

 *マクロミルが保有する調査パネルについて
  ・現在の有効会員数約47万人(2007年2月現在)
  ・主にウェブ上での公募によって構築
  ・サービス開始時はYahoo!Japan・Exciteなどの大手ポータルサイトでバナーを貼って募集
  ・コミュニティ・音楽・スポーツ・ビジネス・検索サイトなど色々なジャンルのサイト (12,000サイト以上)からアフィリエイトプログラムで募集
  ・その他,新聞・情報雑誌などの紙面での募集も一部で実施。
調査方法 自記式調査票:Webベース(CAWI)
インターネットリサーチ
※対象者に回答依頼の電子メールを配信してウェブ上のアンケートページに誘導し,回答を入力・送信してもらう方法。


<回収方法>
 回収割付セルを,性年代,本社所在地,雇用形態(正規従業員,非正規従業員)により256セルに設定し,各セル回収設定数に達するまで先着順で回収を行った。調査開始時のメールの配信時間を,在宅率が高い夜20時とし先着順による無作為性および回答者属性の代表性を確保している。
 また,企業調査,従業員調査の両調査に回答しているサンプルが98件いるが,恣意的に両方の調査への回答を制限すると無作為性が保たれないため,特に制限を行わず,企業調査には人事・(総務)・労務担当者の立場での回答をしてもらい,従業員調査には,一従業員としての立場で回答をしてもらっている。


<集計時の補正>
 補正前の回収データは,母集団の構成比と乖離が見られ,代表性が保たれていないため,企業と従業員それぞれ別々の補正係数を取り重み付けを行っている。

 企業調査において,該当業種以外のデータについては,補正ができないため分析対象から除外している。従って,報告書に掲載される回収nは実際に回収した1647件でなく,1504件となっている。

 企業調査は,総務省の事業所統計調査(2004年実施)の調査結果に基づき,業種別,従業員規模別に回収サンプルに重み付けを行い,総務省の事業所統計調査の構成比と同様となるように集計している。
 従業員調査は,総務省の事業所統計調査(2004年実施)の調査結果に基づき,業種別,雇用形態別(正規従業員/非正規従業員),性別に回収サンプルに重み付けを行い,総務省の事業所統計調査の構成比と同様となるように集計している。
調査実施者 (株)明治安田生活福祉研究所,実査は(株)マクロミル
DOI 10.34500/SSJDA.0549
委託者(経費)
寄託時の関連報告書・関連論文 「福利厚生施策の新たな方向性~より効率的・効果的な運営を目指して~」,2008年3月,(株)明治安田生活福祉研究所
「企業福利厚生制度の現状・課題と方向性~『人口減少社会における企業の福利厚生制度と従業員のライフプランのあり方研究会』定量調査」,2007年4月,(株)明治安田生活福祉研究所
“The Effect of Mental Health Programs on Employee Satisfaction with Benefit Programs, Jobs and, The Organization”:『Business and Management Review Vol.2(1)』2012年3月,上田泰,新野弘恵,成蹊大学大学院
SSJDAデータ貸出による二次成果物 二次成果物一覧はこちら
調査票・コードブック・集計表など [企業調査票][従業員調査票]
主要調査事項 [企業調査]

(1)人事・労務管理施策等
 人事・労務担当者の経営環境認識(業績や事業に影響を与えている環境変化,事業活動の重点的課題),労働力需給の現状(非正規従業員の有無,正規従業員の男女別構成,労働力過不足状況,従業員の定着状況,人材の採用状況),人事・労務の課題,人事労務戦略面での最近の状態,人事・労務の今後の方向性。

(2)福利厚生制度
 福利厚生制度の導入状況(現在導入の制度,非正規従業員が利用可能な制度),拡充・縮小したい福利厚生制度(今後導入・拡充したい制度,今後廃止・縮小したい制度,今後重点を置く福利厚生制度の分野,今後新設・拡充したい生活保障関連の商品・サービス〔正規従業員向け・非正規従業員向け〕),福利厚生制度の目的,福利厚生制度で得られる効果,現状の福利厚生制度の課題・問題,最も重視している現状の制度の課題,福利厚生制度の再構築の検討,再構築を進めたときの懸念,再構築が進まない原因,福利厚生制度の利用促進と周知(従業員への情報伝達方法,新入社員への周知,保険制度のイントラネットでの情報開示)。

(3)生涯生活保障(公助・共助・自助)の役割比重
 社会保障の役割比重,企業が負担する福利厚生制度の役割比重,従業員が負担する福利厚生制度の役割比重。

(4)「仕事と生活の調和」(ワーク・ライフ・バランス)支援制度
 「仕事と生活の調和」支援制度の導入状況(既に導入している制度,非正規従業員が利用可能な制度,現在利用がある制度,今後導入・拡充したい制度,今後廃止・縮小したい制度),「仕事と生活の調和」を図ることの意義(仕事時間への配分を増やす従業員への評価,生活時間への配分を増やす従業員への評価,従業員の諸状況(10項目)における仕事への時間配分・生活への時間配分,従業員の好ましい生活スタイル,男性正規従業員のバランス状態)。

(5)任意加入型の生活保障制度
 任意加入団体定期保険の導入状況(導入有無,保険金額・保険料の平均額),任意加入団体定期保険で適用されている制度,退職者の継続,退職後継続できない理由,最も継続が必要な退職者。
 任意加入医療保険の導入状況(導入有無,入院給付金日額,保険料),退職者の継続,退職後継続できない理由,最も継続が必要な退職者。
 任意加入団体所得補償保険の導入状況(導入有無,保険金月額,保険料,補償最長期間),休業中の経済的支援(健保からの傷病手当金と任意加入団体所得補償保険との補完状況)。
 老後の生活保障制度と導入状況(拠出型企業年金・一般財形・財形年金・財形住宅・確定拠出年金〔企業型〕加入状況)掛金月額,掛金補助制度の有無,加入促進・増額勧奨の意向,支払ってほしい掛金月額。
 任意加入型の生活保障制度の運営方針等(加入〔増額〕を促進したい制度,主体となる部門),新入社員の利用・加入割合。

(6)属性等
 主な事業内容,設立年,資本金,総資産額,株式市場の上場有無,2005年度の売上高,2005年度の経常利益,過去3年間の売上高の増減状況,過去3年間の経常利益の増減状況。
 正規従業員35歳男性モデルの年間給与・年収格差,正規従業員の平均年齢・平均勤続年数,正規従業員の女性割合,正規従業員の中途採用者割合,従業員数,非正規従業員数,派遣社員数。
 2005年度の正規従業員の退職者総数,そのうち自己都合による退職者,早期退職優遇制度の導入有無・適用年齢,導入している雇用延長制度。
 組合等組織の有無,年間の人件費総額,人件費総額の構成比。

<事前調査による属性>(調査票の設問にはない)
 回答者の性別,年齢,県,地域,職業。



[従業員調査]

(1)望む働き方(望んでいた生き方)と現在・将来の不安
 勤続・働く形態・転職,仕事と育児・介護との両立についての考え方,結婚・子ども,出産・育児・介護での休業後の職場復帰への考え方,退職,老後の過ごし方についての考え方,現在・将来について不安に感じること(21項目)。

(2)生涯生活保障(公助・共助・自助)の役割比重
社会保障・企業福利厚生制度・自助努力の役割比重,医療費用・育児費用・介護費用・遺族保障・休業時の所得保障・老後生活資金について社会保障・企業福利厚生制度(会社負担・社員負担)・自助努力のうち期待するもの,公的保障か民間の保障か(7項目)。

(3)「仕事と生活の調和」(ワーク・ライフ・バランス)支援制度,勤務先評価等
「仕事と生活の調和」の現状と希望(仕事への時間配分・生活への時間配分の増減希望,諸状況(10項目)における仕事への時間配分増減希望,諸状況(10項目)における生活への時間配分増減希望),生活スタイル,ワーク・ライフ・バランスの現状(時間面,精神面,経済面,全体面),「仕事と生活の調和」支援制度の利用状況(会社に存在する制度,利用可能な制度,利用したことがある制度),拡充を望む「仕事と生活の調和」支援制度,転職時に重視する支援制度,「仕事と生活の調和」支援制度の効果,仕事と個人生活のバランスの満足度,バランスよい両立のために時間をとりたい活動。
 勤務先の人事・労務施策への満足と不満,勤務先に対する考えや評価,仕事(職務)と勤務先企業に対する満足度,職場についての感想。

(4)福利厚生制度
 勤務先に存在する福利厚生制度,福利厚生制度の利用状況(利用可能な制度,利用した制度),拡充を望む福利厚生制度,転職時に重視する制度,福利厚生制度の効果,福利厚生制度の満足度(全体,分野別),今後の期待(重点を置いてほしい福利厚生制度の分野),悩み事相談窓口(有無,形態,利用者,開設希望),労働組合へ希望する福利厚生制度のサービス。

(5)任意加入型の生活保障制度
 任意加入団体定期保険の加入状況(加入有無,死亡保険金額,保険料年額),適用されている制度,新規加入意向,加入理由,遺族生活保障についての考え方。
 任意加入医療保険の加入状況(加入有無,給付金日額,年間保険料),新規加入意向。
 任意加入団体所得補償保険の加入状況(加入有無,保険金月額,年間保険料,補償期間),新規加入意向,加入理由,所得補償についての考え方。
 老後の生活保障制度(拠出型企業年金,一般財形,財形年金,財形住宅,確定拠出年金〔個人型〕)の加入状況(加入有無,掛金月額),補助制度の有無,新規加入意向,支払ってもよい掛金月額。
 勤務先で加入する自助努力制度(加入の有無,新規加入意向,望ましい主体)。

(6)属性等
 勤務先業種,正社員従業員数,売上高,経常利益,過去3年間の売上高と経常利益の増減状況。
 仕事内容,勤続年数,組合等組織の有無,労働組合の加入,労働組合での役職,最終学歴,年間収入,2年前と比べた年収の増減,未既婚,配偶者の職業,配偶者の年間収入,子どもの有無,男女別子ども数,末子年齢,同居家族,介護家族の有無,貯蓄の有無,預貯金口座等の有無,金融資産の合計金額。
 将来を考えた生活設計,生活設計の計画年数,資金計画,昨年1年間の貯蓄金額,個人で加入の生命保険等(病気死亡保険金額,疾病入院給付金日額,個人年金保険の年金額)。
 1週間の労働日数,1週間の所定労働時間,1週間の残業時間,うち手当が支給される残業時間,通勤時間,昨年度に付与された有給休暇,実際に取得した有給休暇日数,1日分に相当する額(年次有給休暇,育児休暇,介護休暇),現在の住居種類。
 転職経験・回数,直前の退職年齢,退職の自発性,理想の退職年齢。

<事前調査による属性>(調査票の設問にはない)
 性別,年齢,県,地域,職業,正規・非正規従業員別,都市等。
公開年月日 2009/03/27
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労使関係・争議
労働条件
SSJDAオリジナルトピック 雇用・労働
バージョン 1 : 2009-03-27
特記事項